日本企画計画学会

 

Japan Planology Society

  日本語 English Korean
 
 
 
  世界宣言 1997
 
 

1.無限認識から有限認識へ

 20世紀文明と比べ、21世紀文明の特徴は、「無限」と「有限」の違いを認識する文明であるということです。当然のことながら、21世紀には、人類の生存のもととなる化石燃料が枯渇し、無限にあった燃料資源が有限であることを認識させられる世紀です。環境問題も、この有限性から派生してくる問題です。空気や水が有限であるが故に、汚染が進行することになります。人類は、自然の許容度を逸脱して、もっともっとと無限に「延長する」思考で物事を考えてきました。もっと速く、もっと遠く、もっと快適に、もっと豊かに、もっと・・・と、「もっともっと文明」を人類は求め続けて来ました。 ルネ・デカルトの提唱した、この「延長概念」が21世紀には、完全に「有限」の壁にぶち当たることになったのです。人類は、「有限認識」をライフスタイルの中に取り入れ、生活の仕方を変える必要に迫られています。

2.21世紀ルネッサンス時代・・・大転換の時代へ

 21世紀の特徴は、電子メディアによる情報化が一層進むことになることは間違いありません。その兆候は、もう既に現代の世の中に見えています。まだ十分ではありませんが、この世界会議におけるインターネット仮想世界会議は、世界のいかなる場所からも参加できるようになっています。この会議でも、議論されたように電子マネー、電子商取引は、もう入り口まで来ています。この現象は、過去の延長線上での業態ではやっていけない時代に入り込んできていることを意味しています。大幅な業態転換、会計システムの転換,決済システムの転換が確実に起こってくることは間違いありま  せん。まさに「21世紀ルネッサンス時代」とでも呼べる大転換時代の到来です。「過去の延長線上に未来がない時代」には、あらゆる分野において「創造的解決策」が必要になってきているのです。

3.問題点を語る時代から創造的解決策探求の時代

  20世紀は、過去の延長線上の問題点探しの時代でありました。大転換時代は、新しい創造的な解決策が求められています。大学教育は当然のことながら、過去の知識を詰め込む教育から脱却し、幼児教育から、創造的解決策を探求し、実行する能力を養成することが緊急に必要です。電子メディアに遊ばれる人間ではなく、考えることが出来る人間を育成することが求められています。人類の危機を救うには、人間の英知しかありません。本世界会議のテーマである「未来・創造」を実現出来る人材の育成こそ、人類の最大の課題なのです。

4.思考パラダイム変革の時

  「大転換」には、「未来・創造」が必要ですが、本世界会議でも議論されたように、「過去の延長線上に未来はない」時代において、過去を研究し、現在を調査し、未来を創造する研究アプローチが使えなくなってきました。すなわち、従来の思考パラダイムの壁ぶちあたり現象です。アインシュタイン曰く「人類が抱えている困難な問題はそれが出てきた思考のレベルで解決できない。思考のレベルを変えるべきだ。人類の課題は、新しい思考を発見することである」と。先ほど、ナドラー先生も、「21世紀へのメッセージ」の中で、「思考を変えなければ何事も変わらない」と名言を残されました。思考パラダイムの変換を世界に発信したいと思います。

5.グローバリアンへの転換

  最後は、人類社会のあり方です。インターネットをはじめ、人類大移動時代を迎え、地球は、地球村として一体化しはじめています。しかしながら、人類は、民族主義や宗教主義を振りかざして、対立や戦争を繰り返しています。21世紀の地球は、この延長線上でよいでしょうか? 人類社会のあり方を変えるべきです。このためには、すべてに「ユニークな差」を認めることです。人々は、「違い」を尊重しあうことです。人種の違い、宗教の違い、イデオロギーの違い、文化の違いなどを認め合い、共に協創することです。人と人の結びつけを強化し、インターナショナルではなく、インターピープルの世界をつくることです。21世紀に向け、「インターピープル・グローバリアン運動」を押し進めていくことを世界に宣言するものです。